軟骨・非軟骨細胞におけるV/XI型コラーゲンα鎖遺伝子の特異的発現機構の解析

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09671497
• 研究機関: 大分医科大学
• 研究代表者: 吉岡 秀克 大分医科大学, 医学部, 教授 (00222430)
• 研究分担者: 松尾 哲孝 大分医科大学, 医学部, 助手 (10284788) ; 調 恒明 大分医科大学, 医学部, 助教授 (50179058)
• キーワード: コラーゲン遺伝子 / 遺伝子発現 / 軟骨細胞 / 細胞外マトリックス

研究概要

in vivo及びin vitroでα1(XI)鎖コラーゲン遺伝子の転写調節機構を解析する目的で、マウスのプロモーター断片を単離し、ルシフェラーゼ及びβ-gal遺伝子の上流につないだ。用いたプロモーター領域のDNA断片は-5kbまでのもの(long form)と、-536bpまでのもの(short form)の二種類である。さらにこれらの四種類のコンストラクトを用いてレポーター遺伝子の下流に第一イントロンの三つのSma断片(上流より3.5kb、3.0kb、7.0kb)をつないだ。これらを用いて、ウシ大動脈平滑筋細胞及びヒト軟骨肉腫培養細胞にトランスフェクションを行いプロモーター活性をみた。その結果、平滑筋細胞においても、軟骨細胞においてもshort promoter(-536bp)の活性が、long promoter(-5kb)の活性より高かった。又、第一イントロンの三つのSma断片はいづれの細胞においてもshort promoterの活性を抑制させる傾向にあった。現在、short promoterに結合する因子を平滑筋細胞及び軟骨細胞より同定する為にfoot printing及びgel shift assayを計画中である。
一方、このα1(XI)鎖遺伝子の選択的スプライシングがみられるN末酸性領域の機能を解析する目的の一つとして、この領域の一部を欠損させたマウスを作製するために、そのコンストラクトを作製した。まず、マウスαl(XI)cDNAを用いて同領域をカバーする遺伝子断片を単離した後、そのエクソン/イントロン構造を明らかにし、制限酵素地図を作製した。この結果をもとにエクソン6A、6B、7を欠失させたDNA断片をベクターに挿入し、コンストラクトを作製した。現在、これを用いて、ホモロガスリコンビネーション法によるマウスの作製にとりかかっている。

研究成果

• [文献書誌] Yasuyoshi Ueki et al.: "Topoisomerase I and II consensus sequences in a 17-kb deletion junction of the COL4A5 and COL4A6 genes and immunohistochemical analysis." American Journal of Human Genetics. 62・2. 253-261 (1998)
• [文献書誌] Ryusuke Momota et al: "Two genes COL4A3 and COL4A4 coding for the human α3 (IV) and α4 (IV) collagen chains are arranged head-to-head on chromosome 2q36" FEBS letters. 424・1-2. 11-16 (1998)
• [文献書誌] Yan-Ling Wu et al: "cDNA sequence and expression of the mouse α1 (V) collagen gene (Col5a1)" Biochemica et Biophysica Acta. 1397・3. 275-284 (1998)
• [文献書誌] 吉鷹 輝仁 他: "骨形成不全症" 日本臨床(別冊). 19・2. 510-513 (1998)
• [文献書誌] 植木 靖好 他: "Ehlers-Danlos症候群" 日本臨床(別冊). 19・2. 514-517 (1998)
• [文献書誌] 吉岡 秀克 他: "軟骨異形成症" 日本臨床(別冊). 19・2. 518-521 (1998)
• [文献書誌] 平川 聡史 他: "先天性表皮水泡症" 日本臨床(別冊). 19・2. 526-530 (1998)
• [文献書誌] Jun Kondo et al: "Expression of type XVII collagen α1 chain mRNA in the mouse heart" Japanese heart Jaurnal. 39・2. 211-220 (1998)