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1998 年度 実績報告書

滑膜組織の培養による人工腱鞘の開発と生体への再移植に関する実験的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09671498
研究機関広島大学

研究代表者

望月 由  広島大学, 医学部, 助手 (10284192)

キーワード腱 / 腱鞘 / エピテノン / 滑膜細胞 / 線維芽細胞 / 瘢痕組織 / 癒着 / 培養
研究概要

手指の切断腱修復、腱移行あるいは腱移植の手術を行なうとき、瘢痕組織形成による腱とそれを取り巻く組織との癒着が防止できれば、その術後成績は著しく向上する。そこで瘢痕組織形成を抑制するために、まず癒着発生の機序を検討した上で、培養技術を応用して瘢痕組織形成を防止することを目的とした研究の成果を報告する。
まず、epitenonやparatenonを含む腱周囲の膜様組織を腱周囲組織と定義した。実験動物において損傷腱修復モデルを作製し、健周囲組織を切除した群と修復した群とを比較した。切除群、修復群とも、術後1週から2週で炎症細胞浸潤が認められ、術後3週から4週にかけで線維組織が増生して瘢痕組織が形成された。しかし両者を比較すると、切除群では腱周囲から腱内部にわたって高度の線維組織の増生を認めたが、修復群では増生は軽度であった。したがって腱周囲組織は、周囲からの瘢痕組織の侵入を阻止する障壁としての機能を有すると考えられた。
腱周囲組織の瘢痕組織抑制における有用性が確認できたため、次に腱周囲組織の細胞培養を行った。実験動物の腱周囲組織を採取し、collagenase処理を行った後、初代細胞培養した。培養開始後3週で細胞の集族が認められ、4週で十分な量に達したため、trypsin処理を行い継代した。現在は培養細胞を継代中である。
細胞培養に成功すれば、人工腱鞘を作製し、これを実験動物に再移植する。培養細胞をコラーゲン膜上に播種し、これを修復腱を被覆するように縫着して、瘢痕組織形成の抑制効果を観察する予定である。
この方法が確立されれば、瘢痕組織形成の抑制が可能となる。また、腱周囲組織を培養によって得るため、採取部位の犠牲は非常に少なく、かつ欠損部位が多数でもすべてが再建できる。すなわち、多くの臨床応用が予想され、治療上の必要性も非常に強いと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 鈴木修身 他: "損傷腱修復過程における癒着発生の機序に関する実験的研究" 中部日本整形外科災害外科学会誌. 42巻. 19-20 (1999)

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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