我々はラットにおける血管柄付肢移植の系を用いて、同種移植片の拒絶反応を調査し、移植片の生着期間の延長を促すために主に免疫学的な手法を用いて実験を行っている。 1. ラット同種皮膚移植片の血管柄付同種肢同時移植による拒絶抑制 免疫抑制剤を併用した場合、同種皮膚単独移植に比較し血管柄付同種肢及び皮膚同時移植では皮膚の生着が有意に延長した。 2. ラット血管柄付同種肢移植片に対する抗ICAM1抗体、抗LFA1抗体を用いた拒絶抑制 免疫抑制剤を併用した場合、血管柄付同種肢移植片の生着期間は抗ICAMl抗体を投与した群において有意に延長した。 3. ラット血管柄付同種肢移植片に対するアデノウイルスを用いたCTLA4IgG遺伝子の導入による拒絶抑制 T細胞の接着分子の一つであるCTLA4を遺伝子としてアデノウイルスベクターに組み込み(AxCTLA4IgG)、血管柄付同種肢移植を行ったレシピエントラットに対し静脈内投与を行った。免疫抑制剤を用いることなく、生着期間は非投与群に比較し有意に延長した。 4. ラット血管柄付同種肢移植片に対するAxCTLA4IgGおよびAxCD40IgG同時投与による拒絶抑制 上記3に、さらにT細胞の別の接着分子CD40の遺伝子を組み込んだAxCD40IgGを同時投与し、その延長効果を調査中である。また、これらの蛋白の血中濃度の推移と拒絶抑制効果との関連について検討している。
|