研究概要 |
変形性膝関節症動物モデルに関して家兎の膝関節で内側半月板前方3分の1切除にさらに前十字靭帯切離を加えることによりより早期に関節軟骨面に潰瘍や骨棘形成を認めたことから、この実験モデルを用いた。膝関節の知覚神経分布は大腿内側を走行する神経から前方および後方の関節包に分枝することを確認し、左膝は同部の神経切離側とし、右側は神経非処置側とした。処置後6週と9週でそれぞれ5羽ずつ家兎を屠殺し、貯留する関節液を採取し、膝関節を摘出した。膝関節内の肉眼的変化を観察し、関節液中のコンドロイチン硫酸異性体(C6S,C4S)とヒアルロン酸の含有量をHPLC法で測定した。その結果神経切離側で関節液中のC6S量が多く、神経切離が関節破壊を促進することを示した。神経系と関節変性とが密接に関連することが明らかとなった。今後追加実験を行い、引き続き滑膜や軟骨の組織学的変化の検討を行う。 次に内側型OAの手術時に滑膜標本を採取し凍結標本を作成した。内側滑膜の滑膜浸潤細胞の同定 を各種表面抗原に対する抗体を用いてABC法による免疫組織科学染色法を10症例に行った。顕微鏡下で無作為に5視野を選択し陽性細胞数をカウントし平均値を求めた。その結果、CD4およびHLA-DR陽性細胞が多く、滑膜炎症の浸潤細胞はT cell系の細胞が主体であることを明らかとした。次に健常人から抹消血液を10ml採取し、lymphoplepを用いて遠心分離しリンパ球を分離した。培養法を確立し、substance Pの各種濃度に暴露し、今後cell count kit(同仁)による細胞増殖に与える影響と増殖細胞の同定をABC法により行う。また適正濃度を設定し、培養上清中のTNF-αとIL-2のサイトカイン量を測定し、substance Pと炎症担当細胞との関連について調査する。
|