昨年度から引き続き、自己開発した荷重時足部X線像解析ソフトにより、二次元座標系を用いて健常足と外反母趾足の正面・側面像を解析した。さらに計測者間誤差を検討するために、正常女性57例66足と外反母趾例43例76足に対して、二人の検者が独立して計測し、その相違を検討した。荷重時側面像においては、全計測点で二者間の相関係数は0.90以上であり、十分再現性があり評価に耐えうると結論できた。 現有設備として新田工業社製のFSCANシステムがある。これは960個のセンサーを埋め込んだシートを被検者の足に張り付け歩行させることにより、経時的に足底圧が計測できる装置である。これまでの足底圧解析法の弱点として、圧計測域が実際の足で、正確にどの部分を指しているか不明であるということがある。しかし、このシートのセンサーはX線像で判読することが可能であり、足のどの部分で荷重を受けているか判断できることを発見した。そこで歩行時の足底圧を計測した後に直ちに荷重時X線撮影を行い、X線像とセンサーの位置を対比させて検討した。検討には新たに足底圧解析ソフトを開発した。これはX線像上でセンサー部分を指定するだけで、そのエリアの経時圧と1歩行周期における圧合計を自動的に計算するものである。本年度は足部に愁訴がない健常人21名42足の解析を行った。今回は第1〜5中足骨骨頭領域の1歩行周期中の圧を、それぞれ明確に分離して計測し、健常足は中足骨骨頭部の荷重パターンで5型に分類できることがわかった。これはX線像と足底圧を対比してはじめて明らかになったことである。細部の分類には健常例を追加して検討する必要があり、本年度はさらに20名程度の健常例を追加して計測する計画である。これと疾患足の足底圧パターンを比較して病態の検討を行い、治療への応用として足底挿板の形状や手術による矯正度合いを定量的に決定したい。
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