荷重時足側面X線像の二次元評価法としては、横倉法がよく知られている。足底の指標としては種子骨が用いられるが、扁平足例では種子骨は亜脱臼しており、アーチの低下が過大に評価される。そこで第1中足骨骨頭最下端を指標とする方法を考案し、自己開発したX線像解析ソフトにより計測点を53点に拡大して計測した。正常足と扁平足の比較から、この方法は種子骨の変位に影響されない有用な方法であることを示した。 総合的に足部骨格を評価する場合には、距骨下関節の内外反の評価は不可欠である。直接それを検討できるX線撮影法がないため、新たに荷重時に距骨下関節の内外反の評価が可能な撮影法を開発した。この撮影法を用いて正常例と外反母趾患者の計測を行い外反母趾患者の足では距骨下関節が外反していることを明らかにした。 昨年開発した荷重時足部X線撮影と圧計測センサーシステムを併用した足底圧分析法を用いて、正常足40足を対象に歩行時の足趾の役割について検討した。第1〜5趾は立脚相全体で足底に加わる力の16%を担っており、そのうち第1趾が44%を占めていることを明らかにした。また、第2趾以下は順に荷重割合が漸減していることが判った。疾患群としては外反母趾足を計測し、昨年正常群で得られた中足骨骨頭部における足底圧分布パターンと比較した。結果は外反母趾では正常群より第1中足骨骨頭にかかる圧が小さく、第2・3中足骨骨頭にかかる圧が大きいことが判った。これらのことはX線像と足底圧を対比してはじめて明らかになったことである 本年度は、外反母趾の手術後評価を行い、手術の足部骨格や足底圧変化に及ぼす影響について定量的に評価し、さらにそのデータを基にして、三次元的に手術をシミュレートできるコンピューターソフトを開発する予定である。また、対象を慢性関節リウマチやその他の原因による足部変形に拡大し、その病態の解明を行う。
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