荷重時足部背底および側面X線像をマイクロコンピュータに取り込み、二次元座標系を構築し、各座標値を計測できるシステムを開発した。このシステムを用いて足部に愁訴を持たない正常足のX線像を解析し、標準足を決定した。背底像では外反母趾足を解析し、外反母趾変形の根本部分は第1中足骨内反にあることを定量的に証明した。また、原発性変形性リスフラン関節症では第1〜5中足骨全体が内転していることを初めて示した。側面像では、外反母趾において、距舟関節と舟状・楔状関節の低下が扁平足の形成に関与していることをはじめて明らかにした。有痛性外脛骨や先天性内反足症例の足縦アーチを計測し、前者でアーチ全体が、後者では外側アーチが低下していることを示した。 荷重時距骨下関節X線撮影法を開発し、正常例との比較で、外反母趾では距骨下関節は外反し、早期の内反型変形性足関節症では足関節の内反が距骨下関節で代償されていることを示した。 荷重時足部X線撮影と圧計測センサーシステムを併用した動的足底圧分析法を新たに開発した。これまでの動的足底圧解析法では、圧計測域が実際の足で正確にどの部分を指しているか不明であった。本システムではX線像と比較することにより、この問題を解決した。第1〜5中足骨骨頭領域の1歩行周期中の荷重を、それぞれ明確に分離して計測し、健常足を中足骨骨頭部の荷重パターンで5型に分類できた。さらに外反母趾足を計測し、健常群より第1中足骨骨頭にかかる荷重が小さく、第2・3中足骨骨頭にかかる荷重が大きいことを示した。これらのことはX線像と足底圧を対比してはじめて明らかになったことである 外反母趾に対して第1中足骨骨切り術を行った例の追跡調査を続行中である。さらに症例を集め、詳細に解析することにより理想的な手術矯正法を定量的に明らかする予定である。また、これらのデータをもとに現在開発中の外反母趾に対する手術シミュレーターの精度の向上を目指している。
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