当初、ビーグル犬2匹について、ゲージ付きで撮影した股関節レントゲンから実際の大腿骨ステムを作製し人工骨頭置換術を行ったが、大腿骨頸部が細かったために同部での骨折を起こした。そこでデザインの再検討を行い、small、medium、largeの3種類のサイズの大腿骨ステムと、同サイズの3種類のラスプを作製した。以後計14匹24股関節に対し人工骨頭置換術を行なった。一方の大腿骨には径4.5、5、5.5mmのドリルでリーミングしてからラスピングした後、大腿骨ステムを挿入した(ラスピングインサート法)。またもう一方の大腿骨には径3mmのドリルで下穴だけをあけた後、直接大腿部ステムを叩き込んだ(ダイレクトインサート法)。ビーグル犬10匹に対し、これら2種類の挿入方法を片方の股関節に対して交互に行い、2週後に屠殺して、残存するもう一方の大腿骨に、2週前に行なった方法と違う方法で大腿骨ステムを挿入した。これら10匹20大腿骨中2大腿骨は感染を起こし、2大腿骨では術中に骨折が発生した。したがって残りの大腿骨についてステムのmicro motionとステムの移動を計測した。また4匹の片側大腿骨に上記2種類の方法で2匹ずつステムを挿入し、その後平均径2ミクロンのポリエチレン粉を200mg関節内に注入し1ヶ月ごとにX-Pで観察した。経過中、2匹で感染が認められたため中止した。残りの2匹では術後6ヶ月の現在、どちらの方法においても未だ骨溶解を認めておらず観察中である。
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