研究概要 |
実験1-Wistar系ラットを用いて、第5、第6頸椎椎弓切除後、第6頚髄レベル硬膜上に20g重錘を5分間置くことにより脊髄不全損傷モデルを作製した.運動機能はRivlinらのinclined-plane法を用いた。脊髄損傷直後に脊髄クモ腹下腔にダリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)(5ug/0.1ml)投与(n=10)、リン酸緩衝液(PBS)(0.1ml)投与(n=10)し、損傷後2日目、7日目に運動機能評価を行い、両損傷群とも損傷7日目に経心臓的潅流固定を行い、頚髄の凍結切片を作製し,コリンアセチル基転移酵素(ChAT)の蛍光免疫染色を行い、蛍光顕微測光法で分析した。また何の操作を加えていないラット(非損傷群,n=10)も蛍光免疫染色を行った。 【結果】運動機能評価:GDNF投与群,PBS投与群ともに損傷前に82度まで斜面台上で体幹保持可能であったが、損傷2日目にそれぞれ55度、52度、損傷7日目に68度、63度となり、両損傷群間で損傷7日目に有意差を認めた。免疫組織学的検索:ChAT蛍光値は、非損傷群121.4、GDNF投与群96.4、PBS投与群81.6であった.PBS投与群と比べGDNF投与群では蛍光値の低下が有意に抑制されていた。 実験2-同様の脊髄不全損傷モデルを用いて、非損傷群(n=5)、損傷群(損傷後3日、7日、14日、28日)(n=20)の頚髄の凍結切片を作製し、Nissl染色とp-75免疫染色を行い、染色された前角細胞数を算定した。 【結果】前角細胞数は損傷後3日目まで大きく減少し、14日目まで漸減した。p-75陽性細胞は、非損傷群では存在せず、損傷後3日目に存在し、7日目に最高値に達した。14日目、28日目ではp-75陽性細胞はほとんど存在しなかった。
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