研究概要 |
8週齢wistar系ラット40匹(各群20匹で2群)の第6から第9尾椎間に45度の捻転を加えた自己考案脊椎固定器を装着し、椎間板ヘルニアモデルを作成した。2週間後に尾椎6/7、7/8、8/9椎間板より髄核を経皮的に摘出し、更に2週間、長軸方向の負荷を加えた。髄核摘出後4週間で各椎間に、尾椎4/5、5/6から経皮的に摘出した髄核を再挿入した。髄核再挿入後4週間で尾椎8以下を、10週で尾椎7以下を、16週で尾椎6以下を断尾し、尾椎8/9、7/8、6/7の椎間板を経時的に採取した。20匹(第1群)の60椎間板について、10%ホルマリン液固定後、Plank-Rychlo液で脱灰、パラフィン5μm切片とし、HE,Safranin O,Von Gieson,TBM染色を行った。西村考案による分類で線維輪、軟骨透明帯の変性度を評価し、髄核と線維輪内層部ではchondrocyte様細胞とfibroblast様細胞の数と分布について、同一個体内の経時的変化を比較検討した。残り20匹(第2群)60椎間板については、5μmの切片を作成し、TUNEL法で脱パラフィン後、ProteinkinaseKで反応後、Apoptag peroxidase kitで処理し、DAB-H2O2で発色させた。再挿入後10、16週においても4週群と比し、その線維輪、軟骨透明帯の変性進行はなく、西村により示された髄核再挿入による変性過程抑制効果が長期間持続していることが示された。10週群、16週群でも線維輪内層部のchondrocyte様細胞とfibroblast様細胞はみられたが、合胞体様の細胞集族の傾向はむしろ経時的に減少していた。アポトーシス細胞は4、10、16週群で共に線維輪中間層、外層に認められただけではなく、線維輪内層の髄核との移行部において、多数ではないが観察された。各椎間板ごとの標本のばらつきは否定されないが、10週群、16週群で線維輪内層部のアポトーシス細胞が多く観察される傾向であった。椎間板変性促進因子と考えられる細胞集族が髄核再挿入によって抑制されている可能性が示された。
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