前回の報告書において、我々は研究に対する調査期間設定の必要性を述べた。昨年度、本研究に先立って施行した、当科外来患者875例に対するのRetrospective調査の結果をまず報告する。調査内容は、1)アンケート調査と 2)直接検診であった。アンケートが回収できたのは236例(26.9%)であった。その結果、既往歴、幼少期の生活環境においては注目すべき結果は得られなかったが、職業内容においてはデスクワーク職に比べ、農業従事者、建設重労働者や運転手など、頚部負荷を曝露しやすい職業の患者が多かった。また直接検診は外来再来予定の患者にしか施行できておらず、軽快治癒した患者に対しては今後施行予定である。対象患者のほとんどが当院受診前に他院にて保存的治療を経験しており、その治療内容、期間が様々で調査期間設定には結論が出ていないが、少なくとも複数年以上の調査の必要性を考慮している。平成12年度までに本研究の結果を提出するためには、対象群の年齢区分、従事年数を明確にすることで対処できると思われる。今年度は、まずコントロール群を獲得する目的で、本研究のため計画した 1)アンケート、2)理学所見診察、3)単純X線撮影を当院デスクワーク職員に施行し不備がないことを確誌したうえで、本研究の対象群に対する疫学的調査を施行し、頚椎退行変性の発生頻度、頚部神経症状の発生状況などを比較し、その症状発現に対する動的因子の関連性について検討する。
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