研究概要 |
本年度は,1.ラットの後肢を懸垂して作製した廃用性筋萎縮の組織学的検討,2.ビタミンEを投与したラットの廃用性筋萎縮作製,3.筋内ビタミンE定量の準備,を行った. 1.Wistarラット(オス,体重200g)28匹を2群に分け,14匹はジャケット型体幹コルセットを2週間装着して後肢を空中に懸垂し廃用性筋萎縮を作製した.対照群14匹は通常の飼育とし,両群とも2週間後に,右側の大腿直筋,内側広筋,外側広筋,中間広筋,腓腹筋内側頭・外側頭,ヒラメ筋を摘出し,液体窒素で冷却したイソペンタンで凍結した.なお,左側下肢筋は生化学的検索用に凍結保存した.クリオスタットで10ミクロンの連続切片を作製し,HE,NADH-TR,Acid phophatase,ATPaseで染色後,光顕にて異常所見を観察し,写真撮影し,筋線維直径は画像解析装置IBASを用いて計測した.大腿部では表層のタイプ2B線維の萎縮が高度であり,下腿筋ではヒラメ筋のタイプ1線維の萎縮が高度であった.壊死筋線維は,後肢懸垂群では内側広筋深部,外側広筋深部,中間広筋,腓腹筋内外側頭深部,ヒラメ筋に限局して壊死筋線維が出現していた. 2.ビタミンEは徐放錠を作製して,ラットの背側皮下に埋め込んだ.14匹のWistarラットを2週間の後肢懸垂群と対照群の2群に分けた.同様に下肢筋を摘出したが,組織学的検討は現在施行中である. 3.筋内ビタミンE定量は,6匹の未処理ラット筋試料をホモジネートし,Buttrissの方法に準じて鹸化して抽出後高速液体クロマトグラフィーを用いて筋内含有量を求めた.今後,筋内ビタミンE含量と筋線維壊死との関係を明らかにする予定である.
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