研究概要 |
12週齢のWistarラット雄10匹に対して2週間の後肢懸垂を加え下肢筋に廃用性筋萎縮を生じさせた.対照群として同様に12週齢のWistarラット雄10匹を用い,同型の飼育ケージにてpair-fedにて2週間飼育した.廃用群と対照群ともヒラメ筋を摘出し,未固定凍結標本を作製するとともに,一部を2.5%グルタルアルデヒド固定,1%オスミウム後固定を加えて脱水し,エポンに包埋した.HE染色標本では廃用群は明らかに萎縮線維が増加していた.連続標本の免疫組織化学においては,膜構造蛋白であるdystrophinとβ-dystropglycanの免疫反応および局在については両群間に相違はなかったが,中間径フィラメントであるdesminとplectinの免疫陽性反応の局在については両群間に明らかな相違を認めた.廃用群における萎縮筋線維の電子顕微鏡所見は,筋原線維のZ帯の波状化(Z-streaaming)および筋フィラメント配列の規則性の消失が局在的に認められた.後肢懸垂による廃用性筋萎縮の病態でみられる比較的初期の筋原線維変化はZ帯の波状化と筋フィラメント配列の規則性の乱れは,Z帯や筋フィラメント規則的配列の保持に関与するdesminとplectinの局在性の変化により生じる可能性が示された.これらの変化が直接的に筋線維壊死や酸化的ストレスに関係があることを証明はできなかった.
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