研究概要 |
最近,P450について多くの分子種の分類化と薬理作用の解明,および反応性の高い中間代謝産物の毒性の研究が報告されている(F.P.Guengerich.Chem Res Toxicol,1991)。我々も,肝障害度や肝再生に関して,P450分子種レベルで検討してきた。 P450の2E1が、主にセボフルランの生体内代謝を担う可能性があることが,近年はじめて報告された(Anesthesiology,1995)。しかし、吸入麻酔薬の主流となりつつあるセボフルランと,従来使用されてきた類似体について,P450分子種レベルで、吸入麻酔薬の代謝動態および薬物相互作用を詳細に比較検討し,毒性発現のメカニズムを解明する研究は類をみず,また吸入麻酔薬による麻酔中の治療(薬物投与・薬物相互作用)に直結した研究は,ほとんど見あたらない。本研究は,麻酔用薬の投与に伴う様々な合併症を未然に防ぐ上で,非常に重要なデータを与えるものと期待される。 1.ラットの肝よりミクロソーム蛋白を超遠心下に抽出し、Lowry法を用いて肝ミクロソームの蛋白定量と、分光光度計を用いてチトクロームP450を測定した。 2.吸入麻酔薬セボフルランおよびイソフルランを基質として、in vitroにおける肝ミクロソームとの反応系を確立した。 3.上記の反応系によって発生する毒性を有する代謝産物の測定系を確立した。 4.上記の反応系において、肝ミクロソームに換えて選択性の高いミクロソームP450分子種を使用し、毒性を有する代謝産物を測定中であり、吸入麻酔薬セボフルランおよびイソフルランの代謝動態の詳細が解明されつつある。
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