1.ラットの肝よリミクロソーム蛋白を超遠心下に抽出し、Lowry法を用いて肝ミクロソームの蛋白定量と、分光光度計を用いてチトクロームP450含有量を測定した。 2.吸入麻酔薬セボフルランおよび麻酔用薬剤(各種麻酔前投薬・静脈麻酔薬および筋弛緩薬)を基質として、in vitroにおける肝ミクロソームを用いた反応系を確立した。 3.上記の反応系によってセボフルランより発生する毒性を有する代謝産物である無機フッ素の測定系を確立した。 4.上記の反応系を応用し、各種の薬物相互作用を観察できる実験系・測定系を確立した。ラット肝ミクロソームに換えて、選択性の高いヒト・ミクロソームP450分子種を使用し、我々が確立した上記の実験系を応用し、セボフルランの有害代謝産物・無機フッ素を測定した。 本研究の実験・測定系により、吸入麻酔薬セボフルランの代謝が、麻酔中に使用される多々の薬剤(各種麻酔前投薬・静脈麻酔薬および筋弛緩薬)のいずれによって抑制できるか、初めて発見できた。吸入麻酔薬セボフルランの代謝は、ヒ卜・ミクロソームP450分子種の2El分画で行われ、毒性を有する代謝産物・無機フッ素の生成は、筋弛緩薬臭化ヴェクロニウムを同時に使用することで、最大60%減少できることが判明した。
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