Cecal ligation and puncture(CLP;腹膜炎モデル)は一般に急性敗血症性ショックモデルとして使用されているされているが、穿孔の穴を小さくすることにより、慢性腹膜炎モデルとしても利用できる.ラットにごく軽度のCLP(盲腸を24ゲージ針で一回穿孔)施行後慢性腹膜炎が筋ニコチン性アセチルコリン受容体(AchR)に及ぼす影響を検討した. 1) [^<125>I]-α-bungarotoxinを使用し結合実験より求めた前腓腹筋ニコチン性アセチルコリン受容体(AchR)数はCLP施行7、14および21日後に有意に低下した.横隔膜のAchR数は7および14日で低下していた. 2) d-tubocurarine(d-Tc)感受性はCLP後7、14および21日に有意に増加した. 3) CLP後7、14および21日において、約半数のラットで筋力が減弱していた. 4) CLP後4、7、14および21日において、58%-67%のラットに血清抗AchR抗体が検出できた. 以上により、CLPの回復期に筋AchRは自己免疫機序により減少することが示された.慢性腹膜炎が抗AchR抗体を作る機序は不明であるが、慢性感染症が重要な役割を果たしていると考えられる.
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