研究概要 |
【目的】SIRSにおけるエンドセリンと臓器障害との関連、特に低酸素刺激時の肺血行動態や肺機能とエンドセリンの関連を解明することを目的とした。片肺換気モデルにエンドセリン受容体拮抗薬を経気管支的に投与し、血行動態、血液ガス、酸素運搬に及ぼす影響を評価し、治療薬として臨床応用できるかを検討した。【対象と方法】雑種成犬(体重12.5-16.7kg)をバルビタールにて麻酔し、ダブルルーメンエンドトラキアルチューブ(ブロンコキャス)を気管内挿管し、人工呼吸を施行した。大腿静脈よりCVPカテーテルを挿入し、ラクテックリンゲル(10ml/kg/hr)を輸液した。大腿動脈にカテーテルを挿入し、動脈圧の測定と動脈血の採血を行った。頚静脈よりSwan-Ganzカテーテルを挿入した。低酸素チャレンジは、右肺を100%窒素、左肺を30%酸素で換気する。犬は2群に分類した。1)対照群:両肺換気(1hr)→低酸素チャレンジ(1hr)、生食5mlを左肺にネブライザーで吸入→両肺換気(1hr)、2)治療群(吸入):両肺換気(1hr)→低酸素チャレンジ(1hr)、ET_A/ET_B受容体拮抗薬(1mg/kg)左肺吸入→両肺換気(1hr)、測定項目は、(1)血行動態(HR,MAP,MPAP,WP,CVP,CI,SVRI,PVRI)(2)血液ガス(a/V)(3)酸素運搬量(4)呼吸パラメーターで、低酸素チャレンジ前、チャレンジ後30,60minで測定した。【結果】片肺換気によりPaO2が低下し、MPAPは上昇したが、他のパラメーターは有意に変化しなかった。ET_A/ET_B受容体拮抗薬吸入はMPAPの上昇は軽度抑制できたものの、PaO2の低下を予防することはできなかった。
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