研究課題/領域番号 |
09671545
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
渡辺 逸平 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (00251819)
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研究分担者 |
佐藤 一範 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (70126415)
藤原 直士 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (70181419)
多賀 紀一郎 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (00163329)
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キーワード | 脳虚血 / 虚血耐性 / グルタミン酸 / Spreading depression(SD) / 乳酸 / 細胞内遊離カルシウム |
研究概要 |
本年度は以下のような検索を中心に研究を進めた。 1.ラット脳スライス標本を用いて低酸素・無グルコース負荷による大脳皮質神経細胞外遊離グリタミン酸の上昇、ならびに細胞内遊離Ca^<2+>の変化を同時に両側で観察可能か否か検索した。グルタミン酸またはCa^<2+>個々の変化は、一側大脳半球において測定可能であったが、測定装置の解像度・視野の制限により両側同時の測定は不可能であった。従って以下の研究は、Spreading depression(SD)前処置したものとそうでないものを別々に観察した。定量性に関しては基準溶液による補正によって細胞外グルタミン酸の定量は可能と考えられたが、スライス標本では測定プローベの接触面が小さく、実際の動物における虚血状態でのグルタミン酸上昇時の濃度とは異なる可能性が考えられた。細胞内遊離Ca^<2+>に関しては濃度変化を観察した。 2.SD処置後1日のラット脳スライス標本を用いて、低酸素・無グルコース負荷時におけるCa^<2+>の上昇とグルタミン酸上昇との関係を検索した。SD処置後1日のラット脳スライス標本をFura-2で染色し、グルタミン酸測定用プローベをスライス表面の大脳皮質神経細胞に接触させて測定値が安定した後、低酸素・無グルコースを負荷してグルタミン酸とCa^<2+>の変化を観察した。SD前処理した大脳半球の神経細胞と前処置しなかった大脳半球の神経細胞間には、細胞外遊離グルタミン酸上昇から細胞内遊離Ca^<2+>上昇までの時間に差は認められなかった。またCa^<2+>の上昇の程度にも有意な差は認められなかった。このことよりSD前処理後1日では、虚血に対するグルタミン酸・Ca^<2+>の反応性にSD前処理したものとSD前処置しなかったもので差は認められず、SDによる虚血耐性獲得の機序がNMDA receptorの活性化からCa^<2+>上昇の段階には関係していない可能性が示唆された。
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