研究概要 |
高血圧および正常圧ラットの腸間膜の動・静脈の膜電位は,高血圧より正常圧ラットの方が,動脈より靜脈の方が深かった。交感神経終末を6-hydroxydopamineにより遮断することにより,それぞれ膜電位はさらに深くなった。これらより,高血圧モデルの方が正常圧モデルより,また動脈の方が静脈より膜電位が浅く,微小循環における血管壁の壁張力に高血圧モデルおよび動脈の血管平滑筋が大きく関与していることが示唆された。さらに,高血圧・正常圧モデルとも交感神経終末が血管壁の壁張力に大きく関与していることが見いだされた。 交感神経を遮断しない場合,吸入麻酔薬(ハロセン,イソフルレン,セボフルレン)1MACは高血圧ラットの動・静脈の膜電位を正常圧ラットの膜電位より2倍深くした。交感神経を遮断した場合,吸入麻酔薬(ハロセン,イソフルレン,セボフルレン)1MACは,交感神経を遮断しない場合より動・静脈ともhyperpolarizationの程度を少なくした。これらより,高血圧モデルでは,正常圧モデルより微小循環における交感神経終末の関与が強く,かつ吸入麻酔薬により血管壁の壁緊張が変化しやすいことが見いだされた。 高血圧・正常圧ラットとも,吸入麻酔薬(ハロセン,イソフルレン,セボフルレン)1MACは,血管平滑筋単離細胞におけるカルシウム電流を抑制した。これらより吸入麻酔薬は,高血圧・正常圧モデルにおいて血管平滑筋細胞内のカルシウム濃度上昇作用を抑制し,収縮反応に対し抑制作用のあることが示唆された。
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