研究課題/領域番号 |
09671563
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研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
桐原 由美子 島根医科大学, 医学部, 教務職員 (90234400)
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研究分担者 |
橋本 圭司 島根医科大学, 医学部, 講師 (60252920)
佐倉 伸一 島根医科大学, 医学部, 助教授 (80170637)
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キーワード | 脊椎麻酔 / 局所麻酔薬 / 神経毒性 / テトラカイン / リドカイン / エピネフリン / 硬膜外麻酔 |
研究概要 |
平成11年度の研究テーマは、局所麻酔薬の作用が添加される薬剤によってどう影響を受けるかを検討することであった。われわれは、先に行った臨床研究により、現在本邦で脊椎麻酔に頻用されている局所麻酔薬テトラカインによる術後の一時的な神経障害の発生頻度が、代表的な血管収縮薬の1つであるフェニレフリンの添加により増加することを発見した。またこれに伴い、われわれは動物実験でこれを確かめるべく、テトラカインによっておこるラットの尻尾の機能障害と組織学的神経障害が、血管収縮薬であるエピネフリンの添加によって憎悪するかを検討した。そのためわれわれは88匹のラットを使用し、テトラカインの濃度を0.5%、添加するエピネフリンの濃度を0.2mg/mlとし、それぞれの単独薬液および混合液そして生食のみを与える群の4つの群に分け、4種類の溶液をラットのクモ膜下腔に持続注入した。その結果、機能的にはテトラカインとエピネフリン混合液を投与されたもので障害が発生していた。また、組織学的には、テトラカイン単独を投与されたラットで障害が認められた他、テトラカインとエピネフリン混合液投与を行った群に、他のものと比較して有意に高度の組織障害が認められた。このことは、テトラカイン自体に神経毒性が存在することを示すと共に、これが血管収縮薬であるエピネフリンで増強することを示唆している。 またそれに引き続いて施行した臨床研究で、リドカイン単独と、それにエピネフリンを加えた2種類の溶液を腔膜外腔に投与して、神経遮断にどの様な影響が生じるかを検討した。その結果、エピネフリンの添加によって神経線維の種類に関わらず神経遮断の程度が増大することが確認された。 以上の結果はすでに国際学会などで発表済みである。
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