研究概要 |
ハロタンのモルモット分離肝細胞内のカルシウム濃度に及ぼす影響について検討した. 1.反応系中のハロタン添加後の経時的濃度変化 反応系へ添加したハロタン濃度は添加2分後に最大になった.その後ハロタン濃度は漸減した.添加7分後まで添加2分後の50%の濃度を保っていた.従って,ハロタンの作用時間は3分間とした.ハロタンを0.2,0.6,1.0,2.0ul加えたときの添加2分濃度は140,280,550,930uMであった. 2.細胞浮遊液にカルシウムイオンが存在するときのハロタンの細胞内カルシウムに及ぼす影響.ハロタンを添加しない肝細胞の細胞内カルシウムイオン濃度は158+/-74nMであった.ハロタンを0.2,0.6,1.0,2.0ul加えたときの濃度は221+/-54,277+/-75,502+/-248,1098+/-285nMであった.同じ条件下での細胞死亡率を示すトリパンブルーの取り込みはそれぞれ13.5+/-3.4,29.5+/-4.5,47.2+/-8.6,73.6+/-9.9,96.5+/-2.0%であった. 3.細胞浮遊液にカルシウムイオンが存在しないときのハロタンの細胞内カルシウムに及ぼす影響.ハロタンを添加しない肝細胞の細胞内カルシウムイオン濃度は249+/-28nMであった.ハロタンを0.2,0.6,1.0,2.0ul加えたときの濃度は227+/-55,210+/-37,123+/-55,80+/-54nMであった.同じ条件下での細胞死亡率を示すトリパンブルーの取り込みはそれぞれ31.2+/-6.4,16.8+/-7.7,56.0+/-12.3,79.6+/-6.5,97.8+/-1.8%であった. ハロタンによる細胞死亡率増加の原因はハロタンによって細胞外からカルシウムが流入した結果であると結論した.
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