研究概要 |
短時間脊髄虚血侵襲後に20分間虚血侵襲を与え、脊髄虚血耐性が神経学的所見から確認できるか検討を行った。 1 短時間虚血侵襲 イソフルラン麻酔下に経後腹膜的に左腎動脈直下の大動脈を短時間遮断した。虚血時間は分節性脊髄誘発電位(左坐骨神経刺激-第5-6腰椎棘突起間導出)の第3・4波(postsynaptic成分)が消失する時間とした。結果第3・4波が消失する時間は5〜10分であった。短時間虚血後に、後肢運動機能障害を生じた家兎はいなかった。 2 20分間虚血侵襲 以下の4群に分け、イソフルラン麻酔下に20分間虚血侵襲を与え、48時間後に後肢運動機能を5段階で評価した。(4:正常,3:跳躍できるが正常ではない,2:後肢を体の下に引き込めない,1:重力に抗して後肢が少し動く,0:後肢の完全麻痺) 1)対照群(n=8)短時問虚血を与えずに20分間虚血侵襲のみを与えた。 結果 スコア2:3羽、スコアl:2羽、スコア0:3羽 2)2日後群(n=7)短時間虚血侵襲2日後に20分間虚血侵襲を与えた。 結果 スコア4:3羽、スコア3:1羽、スコア0:3羽 3)4日後群(n=6)短時間虚血侵襲4日後に20分間虚血侵襲を与えた。 結果 スコア4:2羽、スコア3:1羽、スコア2:3羽 4)7日後群(n=4)短時間虚血侵襲7日後に20分間虚血侵襲を与えた。 結果 スコア4:2羽、スコア1:2羽 【まとめ】短時問虚血侵襲後に20分間虚血侵襲を与えると脊髄虚血耐性が生じる傾向が示唆されるが、さらに数を増やして詳細に検討を行う予定である。また、組織学的検討は平成10年度にストレス蛋白の同定等の検討と併せて行う予定である。
|