研究課題/領域番号 |
09671567
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
松本 美志也 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (60243664)
|
研究分担者 |
國廣 充 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (40284252)
上田 聰子 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (80284256)
|
キーワード | 脊髄虚血 / 虚血耐性 / 熱ショック蛋白 / 兎 |
研究概要 |
短時間脊髄虚血侵襲後に20分間虚血侵襲を与え、脊髄虚血耐性が発現することが平成9年度の研究で明かにされたので、本年度の研究はその機序にheat shock protein 70(HSP70)がどのように関与するか検討を行った。 【方法】イソフルラン麻酔下に経後腹膜的に左腎動脈直下の大動脈を短時間遮断した。虚血時間は分節性脊髄誘発電位(左坐骨神経刺激ー第5-6腰椎棘突起間導出)の陰性第3波が消失する時間とした。 短時間虚血侵襲から8時間後(n=1)、2日後、4日後、7日後(各n=3)に再びイソフルラン麻酔下に脊髄を灌流固定した。また、別の家兎では短時間虚血侵襲から2日後、4日後、7日後にあるいはsham operationから4日後(各n=3)に20分間の脊髄虚血侵襲を与え、その4時間後に再びイソフルラン麻酔下に脊髄を灌流固定した。灌流固定した脊髄はH-E染色と抗HSP70抗体による免疫組織染色を行った。 【結果と考察】短時間虚血侵襲のみの家兎では腰部脊髄腹側灰白質の正常神経細胞数は何れの群も正常範囲であった。HSP70は短時間虚血から8時間後より免疫組織染色で確認さた。分節性脊髄誘発電位の変化を指標とした短時間虚血は神経細胞を傷害することなく、HSP70を発現させることが判明した。しかし、HSP70は短時間虚血から2日後にはすでに発現しているにもかかわらず、神経学的所見では短時間虚血から2日後の虚血耐性現象明かでなく、4日後に認められた。HSP70の発現経過と神経学的及び組織学的所見からみた虚血副性の発現経過は必ずしも一致しなかった。短時間虚血あるいはsham operation後2回目の脊髄虚血侵襲を与えた群では4時間後のHSP70の発現度合いは、短時間虚血侵襲を与えたか否かよりも、2回目の虚血後4時間の時点での神経学的所見がよい家兎にHSP70の発現が強い傾向にあった。HSP70の脊髄虚血耐性発現に関する役割については、Western blotting法による半定量、興奮性アミノ酸の関与の面からさらに検討をする予定である。
|