研究概要 |
これまでの実験で,腹膜炎敗血症ラットの横隔膜収縮力は,腹膜炎敗血症作成10時間後より低下することを明らかにした.その原因の一つとして,活性酸素による組織障害を推定し,活性酸素阻害薬(PEG-SOD)が腹膜炎敗血症ラットの,横隔膜機能に及ぼす影響について検討した.さらに活性酸素による組織障害の指標としてTBARを同時に測定した. PEG-SOD投与により,腹膜炎敗血症ラットの横隔膜収縮力低下が改善された.一方TBARは,腹膜炎敗血症の進行と共に増加したが,PEG-SOD投与により低下した.以上の結果から,活性酸素による組織障害が腹膜炎敗血症時の横隔膜機能低下の原因の一つであることが推測された. 活性酸素による組織障害は,活性酸素の過剰生産,もしくは抗活性酸素防禦機構の低下により生じる.このため我々は,横隔膜筋肉中のSOD活性ならびにグルタチオンぺルオキシダーゼ活性についてもさらに検討を加えた.腹膜炎敗血症作成後,SOD活性は増加した.TBARが腹膜炎敗血症作成後増加した点を考慮に入れると,活性酸素の過剰産生が腹膜炎敗血症時の横隔膜機能低下の一因と考えられた.
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