研究課題/領域番号 |
09671584
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
飯島 毅彦 杏林大学, 医学部, 助手 (10193129)
|
研究分担者 |
三川 宏 杏林大学, 医学部, 教授 (90206029)
佐和 弘基 杏林大学, 医学部, 講師 (80135912)
塩川 芳昭 杏林大学, 医学部, 助教授 (20245450)
斎藤 勇 杏林大学, 医学部, 教授 (20186927)
|
キーワード | Spreading depression / brain ischemia / hippocampus |
研究概要 |
Spreading depression(SD)が血流量の低下しているか、あるいは血流量の調節機構の障害されている領域の神経細胞にいかに障害を与えるかを検討した。 1慢性片側頚動脈閉塞モデルによる海馬領域の障害の検討 片側の頚動脈閉塞モデルでは、大脳皮質に与えられたSDにより海馬CA3領域にMAP-2(Microtubule associated protein 2)の欠損を認めた。この障害は単なる片側頚動脈の結紮あるいは、SDの誘導のみでは起こらなかった(Iijima T.et al.Journal of Neurotrauma 1998)。 2急性モデルによるSDによる大脳皮質でのアミノ酸の変動 片側あるいは両側の頚動脈結紮モデルにて大脳皮質上にSDを起こし、グルタミン酸濃度の変動を検討した。その結果、直流電位の陰性への変動とともにグルタミン酸が上昇し、電位の回復とともにグルタミン酸濃度もコントロール値に回復することが確認された。さらに、血流量が減少させるとSDの持続時間は延長し、グルタミン酸濃度は上昇するが、再分極と同時に回復した。さらにmicrodialysisと高速液体クロマトグラフィーを用い、アミノ酸濃度を定量的に測定しても、持続時間の延長したSDでもグルタミン酸の他、トランスポータを必要とするアミノ酸の濃度上昇は少なかった。一方、anoxic depolarizationに移行し、電位の回復の見られないものではこれらのアミノ酸濃度はさらに上昇した。以上のことから、アミノ酸の放出はSDのみでは生理的範囲内であり、虚血時に見られる高濃度のグルタミン酸の上昇は細胞のanoxic depolarizationの結果であると考えられる。 以上の実験結果を含めて、Spreading depressionの虚血性神経細胞障害についての国内外の知見を総説にまとめた(飯島毅彦 Brain and Nerve 1998)。
|