肝静脈血酸素飽和度モニタリングのためのソフトウエアの開発を行った。このために必要なコンピュータとソフトウエアの購入をした。ここでは肝静脈血酸素飽和の表示のほか低下度と時間との積の表示をできるようにした。 これについて臨床応用を行い以下の結果を得た。藤田保健衛生大学医学部付属病院で肝切除を最近行った39例である。肝静脈血酸素飽和度低下時間積分値は平均で479+719%min、最小で1%min、最大で2960%minであった。ここの症例で見ると積分値は肝門部剥離時に急激に増加するものが多かった。肝切除時ではpringle法を行ったもので大きく増加したが、行わないものでは増加は軽度であった。この研究から、肝静脈血酸素飽和度低下時間時間積分は、どの時点で肝が術後トランスアミナーゼが上昇するまでの障害を受けているかを検討するのに役立つことがわかった。患者の予後との関係については術後のケトン対比および総ビリルビンちなどとの検討を行った。さらにヒアルロン酸値の測定を行った。これらの結果は次年度に明らかにする予定である。これを通じて肝静脈血酸素飽和度モニタリングが患者の予後を改善させるのに役立つかどうか、について次年度に評価を行う予定である。 さらに肝静脈血酸素飽和度モニタリングを行う際の挿入手技とカテーテル改良のための検討を行った。これらのために救急集中治療関係の必要な図書の購入をした。術後肝静脈酸素飽和度モニタリングについては、その管理についてまだまだ改良すべき点が多く、次年度にそのためのソフトウエア開発とあわせて研究を行う予定である。
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