研究概要 |
現在麻酔薬の細胞内に対する作用が注目されている。その中でもProtein Kinase Cをはじめとした燐酸化酵素に対する作用は、いろいろな麻酔薬作用に関与していることが報告されている。私達は静脈麻酔薬の燐酸化酵素に対する作用について研究を続けてきた。その中でも、静脈麻酔薬ケタミンはラット腎メサンギウム細胞の増殖を細胞内Cyclic AMPを上昇させ燐酸化酵素protein kinase Aを活性化して細胞増殖を抑制していることを明らかにしてきた(Jimi et al.,Anesth Analg Vol.84:190-195,1997)。これらの所見は神経細胞以外においても麻酔薬が燐酸化酵素を介して作用していることを示す興味深いものと考えられる。また、燐酸化酵素が増殖に与える影響をCNPやアドレノメデュリンなどの循環作動蛋白の増殖抑制作用においても関与しているという結果報告した(Segawa et al.,Nephron,Vol.74:577-579,1996;Segawa et al.Naunyn-Schmiedeberg's Arch Pharmacol Vol.357:70-76,1998)。さらにこれらを詳細に検討する目的で、アフリカツメガエル卵母細胞発現系において検討し、燐酸化酵素Protein Kinase Cを介して麻酔薬が作用している結果を得ている(Minami K,J Parmacol Exp Thera Vol.281:1136-1143,1997;Minami K,Eur J Pharmacol Vol.339:237-244,1997;Minami K,Mol Pharmacol,In press)。今後は、細胞内の燐酸化酵素の活性を直接測定することにより以上の結果を確認していきたい。
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