検討1:膀胱全摘後に自己排尿型代用膀胱を作成した21名の患者を対象に、術後に排尿方法を調査した。術式はMainz pouchが11例、Hautmannの手術が10例であった。術後の排尿法は自排尿が12例、間歇自己導尿が9例であった。Mainz pouchは初期の例に多く、また初期には間歇導尿を推奨していたこともあり、Mainz pouch例においては自排尿施工例が少ない傾向にあった(自排尿比率:Mainz pouch4/11、Hautmann8/10)。 検討2:自己排尿型代用膀胱作成例のうち、自排尿例を対象に、術後の尿流動態を検討した。尿流測定(free flow)、pressure flow study(PFS)および外尿道括約筋筋電図(EUS-EMG)を施行した8例(何れもHautmann例)を検討対象とした。PFS上、全例でで、ほぼ腹圧のみによる排尿が行われており、最大尿流量は2.7〜12.5ml/sec(中央値9.0)、最大尿流時膀胱内圧は51〜106cmH_2O(中央値82)と比較的高膀胱内圧低尿流量パターンを示した。EUS-EMG上、3例に排尿指示時の括約筋弛緩が証明されたが、残る5例では評価不能であった。free flow上の尿流パターンは、3例でつりがね型またはそれに類似した良好な排尿パターンを呈したのに対して、3例では典型的な間歇的腹圧排尿パターン、2例ではその中間型を示した。少数例の検討であることもあり、現段階では、PFS上に排尿圧、EUS-EMG上の括約筋弛緩の有無、およびfree flow上の排尿パターンの間に明らかな相関関係を見い出し得ていない。今後さらに症例数を増やして検討していく必要があると思われた。
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