平成10年度の本研究の実績として、新たに3症例の膀胱癌の代用膀胱施行例を加えた。またこれまでの代用膀胱の追跡症例も脱落例はなく、新たに癌の転移で死亡した1例を除く生存患者15例をプロトコールに則り諸検査を進めている。 間診、症状のアンケート調査では、代用膀胱の排尿困難や尿失禁などの不全例の発生はなく、自己導尿に移行した症例もない。X線学的検討では上部尿路の障害はなく、排尿時代用膀胱尿道造影で逆流現象を見たものはいない。ウロダイナミックス検査では術後1年間での代用膀胱内圧の安定化、代用膀胱不随意収縮波の消失などが確認されている。4年以上経過例でも著変なく安定した膀胱内圧、尿道閉鎖圧を確認できている。性機能が保たれている若年者では、術前に近い定期的な性交渉が続けられている。 平成9年度には男子膀胱癌患者の代用膀胱手術のビデオを作製したが、平成10年度には女子の転移を有する膀胱癌患者の代用膀胱手術のビデオを作製し、現在編集中である。 平成11年度もすでに2例の代用膀胱例を経験しており、4月の日本泌尿器科学会で手術手技をビデオにて発表する予定である。これまでの症例をさらにX線学的検査及びウロダイナミックス検査などにより、経過観察していく予定である。
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