研究概要 |
腎癌細胞株7種,膀胱癌細胞株3種,乳癌細胞株1種および白血病細胞株1種についてβカテニンのWestern Blottingを施行した結果,腎癌細胞株KRC/Yにおいて蛋白量の増大が,腎癌細胞株ACTHでは減少が認められた以外は欠損やサイズの異常は認められなかった.また既にE-カドヘリンなどの発現がないことがわかっており,カドヘリンを介した細胞間接着機構のないと考えられる白血病細胞株(Namalwa)にもβ-カテニンが発現していることが判明した。β-カテニンのNH_3側のGSK-3によるリン酸化作用部位(アミノ酸37-45)を含む領域にプライマーを設定してRT-PCRを施行した結果,同部に明らかな欠失は認められなかったが,腎癌細胞株2種(Caki-1,Caki-2)および膀胱癌細胞株1種(RT-4)にてcDNAサイズの増大が疑われた.今後はβ-カテニンGSK-3作用部位のDNAサイズに異常の疑われた腎癌細胞株についてSSCPまたはsequencingを予定している.β-カテニン蛋白量の発現増大が認められたKRC/Yはβ-カテニンのGSK-3作用部位のcDNAに異常が認められなかったことから,β-カテニンの安定化を阻害するもう一つの作用機序と考えられるAPCに関して,β-カテニンのAPC結合部位およびAPC遺伝子・蛋白の異常についてもRT-PCR,Western Blottingなどにて検討する予定である.
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