1.前立腺癌培養細胞株PC-3を免疫源として、レクチンUEA-1と結合する糖蛋白質に対するモノクロナル抗体を産生するハイブリドーマを得た。前立腺特異性についての検討では、必ずしも特異性は高くなく、前立腺癌の進行に伴い高発現するUEA-1結合蛋白質は正常組織にも広く分布するものであることが示唆された。レクチンによるブロッティングとモノクロナル抗体によるウェスタンブロッティングの結果からは、現在得ている抗体が認識しない蛋白質も存在しており、この物質に対する今後の研究も重要であることが示唆された。 2.前立腺癌におけるUEA-1結合物質の陽性率は偶然発見癌において、より臨床的悪性度が高いと見なされているT1b癌での陽性率が高く、局所進行癌、有転移症例での陽性率はさらに高いが、前立腺肥大症での発現は軽微であった。 3.アンドロゲン依存性と関連があるとされてきたPNA結合物質は、確かに前立腺肥大症や臨床病期が早期の癌での陽性率が高く、進行癌では陽性率は減少した。PNA陽性率と予後との関連性は今後の検討課題と考えた。現在、その関連性について検討中である。
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