1.PNA染色性はBPHの管腔側分泌細胞でわずかであり、偶発癌で高く、進行癌で低下した。UEA-1染色性はPNAと同様にBPHの管腔側分泌細胞でわずかであり、偶発癌ではA1、A2と病期が進行するとともに染色性が亢進した。進行癌での染色性は病期A2と同等であった。PNA、UEA-1染色性と組織学的分化度との間には関連性を認めなかった。 2.DNA ploidy patternとPNA、UEA-1染色性は関連しなかったが、高分化偶発癌の細胞内でのPNA染色陽性部位はdiploidとnon-diploidで異なった。UEA-1染色性と癌占有体積の間に正の相関性を認めた。 3.臨床病期C、Dで、PNA染色性が2+以上の症例の癌特異的生存率は1+以下に比較して良好であった。UEA-1染色性は予後と関連しなかった。 以上からPNAおよびUEA-1結合糖鎖は前立腺上皮の癌化に関連していた。そして、PNA結合糖鎖は癌のアンドロゲン依存性と関連することが示唆され、PNA染色性は進行癌の予後予測因子して有用であると考えられた。UEA-1染色性は偶発癌の体積と関連し、UEA-1結合糖鎖の発現は癌の進行と関連するものと考えられた。
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