研究課題/領域番号 |
09671623
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
福留 寿生 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (40270681)
|
研究分担者 |
矢谷 隆一 , 学長 (80024636)
山川 謙輔 三重大学, 医学部, 助手 (00230326)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
キーワード | 代謝酵素 / 遺伝子多型 / 前立腺癌 / リスク評価 |
研究概要 |
発癌物質の代謝活性化に関与する酵素の遺伝子多型性がヒト発癌リスクに関与することが注目されている。我々は前立腺癌患者および前立腺肥大症患者より採取した白血球由来DNAを用いて代謝酵素の遺伝子多型を解析した。 初年度では、発癌性芳香族炭化水素の代謝、解毒に関与するCYP1A1酵素およびGSTM1酵素について解析し、CYP1A1遺伝子Val型およびGSTM1遺伝子欠損型においてそれぞれ相対危険度の上昇を認めた(相対危険度=2.6:95%信頼区間=1.11-6.25、(以下同様)、1.3:0.8-2.3)。さらにこれら2つの遺伝子多型を組み合わせると、相対危険度は2.3:1.18-4.48となり、また、組織型、臨床病期、診断時年齢にも、代謝酵素遺伝子多型の関与が示唆された。 2年目にはさらにこれまで癌との関連が報告されている代謝酵素遺伝子について解析を進め、N-アセチル転移酵素遺伝子(NAT1)のNAT1^*10型homozygoteで、相対危険度の有為な上昇を認めた。(2.4:1.0-5.6)CYP2E1遺伝子、およびGSTT1遺伝子についても解析をおこない、高リスクと報告されている遺伝子型(CYP2E1 c1型およびGSTT1(+)型)において、相対危険度の上昇を認めた。(1.3:0.4-4.5、1.5:1.0-2.5) これまで解析した5種類の代謝酵素遺伝子について、それぞれ高リスク型の遺伝子型をいくつ有するかについて見たところ、高リスク型の遺伝子型の数が0あるいは1を基準にした場合、4以上では有為な相対危険度の上昇を認めた。(4.9:1.4-17.3) 以上の結果から、代謝酵素遺伝子多型の組合せにより前立腺癌の高リスク群を同定できる可能性が示唆され、さらにはその酵素の組合せが、環境中の前立腺発癌因子同定の可能性を示すものと考えられた。
|