研究課題/領域番号 |
09671628
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
後藤 章暢 神戸大学, 医学部, 助手 (70283885)
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研究分担者 |
原 勲 神戸大学, 医学部, 助手 (10263378)
郷司 和男 神戸大学, 医学部・付属病院, 講師 (50195921)
岡田 弘 神戸大学, 医学部・付属病院, 講師 (00177057)
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キーワード | 前立腺癌 / 遺伝子治療 / アデノウイルス / P53 / 癌抑制遺伝子 / PSA / プロモーター / ベクター |
研究概要 |
前立腺癌においては前立腺特異抗原が腫瘍マーカーとして有名である。我々は、前立腺特異抗原の臓器特異性という性質を利用し、これをプロモーターに応用すればより特異性に目的とする前立腺に治療ベクターを運ぶことができるのではないかと考えた。 遺伝子導入法としては、現在一般に行われているレトロウイルスやリポソームを用いた各種の方法ではなく、最も導入効率の高い約36〜40Kbのゲノムをもつ二本鎖DNAウイルスであるアデノウイルスを用いた。アデノウイルスベクターによるin vitro遺伝子発現の基礎的検討とした以下のことがわかってきた。 (1)遺伝子発現はMOIに比例して増加する。ただし細胞毎に異なるplateaulevelが存在し、それ以上MOIを増加させても細胞毒性が増えるだけで、発現量は増加しない。 (2)増殖細胞内では、感染後第一日目より発現が認められ、第3〜5日目をピークとし、第10〜14日目にはほぼ消失する。 (3)遺伝子発現量は挿入するプロモーター活性と相関する。 (4)同一細胞内でも遺伝子発現効率にheterogeneityが存在する。 (5)静止期(G0/G1期)の細胞にも効率良く感染しうる。 このアデノウイルスベクターは目的とする遺伝子をアデノウイルスの殻に組み込んだもので、非分裂細胞にも導入されるが、細胞毒性が強く、in vivo投与では抗体を作りやすいという問題点もある。そのため、in vivo にてアデノウイルスベクターの毒性を検討し、投与至適濃度を設定している。このアデノウイルスベクターが各種の細胞でその発現効率が異なる可能性があるので、本研究の対象となる前立腺癌に対して、その発現効率を確認するために、代表的なヒト前立腺癌細胞を用いb-galactosidaseの発現を検討した。プロモーターとして、一般的なサイトメガロウイルスを用いた方法と前立腺癌に特異的な前立腺特異抗原(Prostate specific antigen)を応用した方法を比較検討し、PSAプロモーターの、PSA産生性前立腺癌細胞でのこのアデノウイルスベクターの発現効率の高さはin vitroで確認した。
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