研究概要 |
我々は前立腺癌の中でも、WHO分類によるMedullary,Column and Cord,Fused glandという腺管の形成がなく、間質成分が多い病理像を含む組織を持つ症例の予後が不良であることを明らかにしてきたが、今年度は前立腺肥大症および前立腺癌組織から分離培養された間質細胞に関してのin vitroの実験を行っている。前立腺肥大症および前立腺癌の間質細胞を手術で摘出した組織から分離培養し、間質細胞を5〜6代まで繼代培養すると90%の細胞が線維芽細胞となる。この線維芽細胞を無血清下に培養できる培地を開発し、培養上清中に放出される因子について解析した。前立腺癌細胞の初代培養が困難なため、LNcap(アンドロゲン依存の前立腺癌細胞株),DU145,PC3(アンドロゲン非依存の前立腺癌細胞株)細胞の増殖に対して抑制的に作用する既知の細胞成長因子Transforming Growth Factor-beta 1(TGF β1)とInterleukin-6(IL-6)をEnzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)法を用いて検出した。さらに、これらの因子の各種ホルモンあるいはanti-androgenの存在下での動きと各細胞中のmRNAの発現を検索中である。
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