研究概要 |
我々は前立腺癌の中でも、WHO分類によるMedullary,Column and Cord,Fused glandという腺管の形成がなく、間質成分が多い病理像を含む組織を持つ症例の予後が不良であることを明らかにしてきており、さらにこれらのWHO分類にもとづく病理像と予後との関連性について検討し、Fused glandと分類される病理像をもつ症例の予後が不良であることを示した。 また前立腺癌組織から分離培養された間質細胞に関してのin vitroの実験を行い、培養上清中に放出される因子について解析した。前立腺癌由来の間質細胞の無血清培地中に遊離され、前立腺癌細胞に対して抑制的に作用することが示唆されている既知の細胞成長因子であるTransforming Growth Factor-betal(TGF β1)とInterleukin-6(IL-6)をEnzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)を用いて検出した。TGF β1,IL-6ともに前立腺癌由来の間質細胞から無血清培地中に遊離、IL-6の遊離作用は抗男性ホルモン剤であるchrolmadinone acetate(CMA)で抑制されることが明らかになった。また、CMA作用下でのIL-6のmRNAの発現増強はなかった。一方、TGFβ1は逆にCMAより遊離が増加するという基礎データを得ている。また、これらの作用はEstrogen製剤では認められずCMAによる前立腺由来の間質細胞に対する直接効果の存在が確認されまたこの作用は細胞膜のレベルでの作用であることが示唆された。
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