一般病院で施行可能なインターネットを利用したテレビ会議システムを用いて、訪問看護ステーションを利用している在宅患者に対し遠隔医療を試みた。対象は天の橋立訪問看護ステーションを利用している在宅患者5名。方法は、訪問看護ステーションの看護婦がノート型パソコン(Mac PowerBook 1400cs/117)とCCDカメラ(Color QCAM)を在宅患者宅に持参し、テレビ会議システム(CU-SeeMe)をたちあげ、病院のコンピュータに接続する。この時点でお互いのコンピュータに患者と医師の動画映像が共に写しだされる。医師は写し出された2つの動画映像をみながら、音声やチャットによる対話を行うことにより診察を行い、必要事項を患者カルテに記載していく。結果は、この方法で試みた遠隔医療の施行回数は、在宅患者5名に対しのべ15回であり、技術的なトラブルはほとんどなかったが、時には途中でコンピュータがフリーズしたり、音声会話が聞き取りにくいこともあった。在宅患者と家族の意見、感想としては、医師とお互いの顔をみて話をすることで、一般の電話とは異なり病院での診察に近い臨場感がもて、安心できるとの意見が多く好評であった。訪問看護婦の意見、感想としては、コンピュータの操作として、インターネットによるテレビ会議システムをたちあげて病院医局に接続する手順がやや煩雑で、習熟するのに多少の時間を要した。したがって在宅患者の家人や介護人が操作するには、より簡単な操作システムが望ましいとの意見であった。医師の意見、感想としては、患者側の動画映像が微細な診察をするには十分鮮明とはいいがたく、画質の向上が強く望まれた。結論として、今回試みた遠隔医療は、組織的な環境をもたない一般地域病院で十分施行可能であり、今後の普及が期待された。ただし、今後の課題としては操作の簡便化、画質の向上が望まれた。
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