研究課題/領域番号 |
09671652
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
田邊 一成 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80188359)
|
研究分担者 |
八木沢 隆 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80167692)
古賀 祥嗣 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30277123)
徳本 直彦 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30246540)
東間 紘 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90075549)
|
キーワード | 腎移植 / HCV |
研究概要 |
HCV陽性腎移植患者の予後について 腎移植患者において免疫抑制剤が投与されるが、HCVの増殖や肝病変の進展にどのような影響を及ぼすかについても明らかではない。そこでHCV抗体陽性腎移植患者における臨床経過とその予後について検討した。 1983.2月〜1994.12月までに東京女子医大腎センターで行った腎移植980例のうちHCV抗体検査を行い得た766例について検討した。全766例中、男性は499例、女性は267例、移植時平均年齢は32.9±11.2才(平均±標準偏差)、ドナー別では生体腎移植678例、死体腎移植88例、移植後平均観察期間は71.6±37.9カ月(平均±標準偏差)であった。 腎移植前後のHCV抗体陽性率と肝障害:全症例766例を対象に、移植後の肝障害の有無について、HCV陽性群とHCV性群の比較検討を行ったところ、HCV陽性群は、95例中63例(66.3%)に肝障を認めたのに対し、HCV陰性群では、671例中82例(12.2%)に肝障害を認めたにとどまり、両群間には有意差を認めた。 HCV抗体陽性例の腎移植前の肝機能:HCV陽性95例を対象に、移植前と後における肝障害の割合をみると、移植前に既往も含めて肝障害のあった症例は16例(16.8%)、移植後では肝障害のあった症例は63例(66.3%)であった。HCV陽性移植患者において、移植後の肝障害の割合が66.3%と高率に上昇していた。 生存率:HCV抗体陽性95例の生存率は、1年、5年、10年でそれぞれ96.7%、95.6%、90.5%であった。対してHCV陰性群の生存率は、1年、5年、10年でそれぞれ99.4%、96.4%、94.6%であったが両群間には有意差はなかった。 グラフト生着率:HCV陽性群のグラフト生着率は、1年、5年、10年でそれぞれ91.4%、81.4%、65.8%であった。対してHCV陰性群のグラフト生着率は、1年、5年、10年でそれぞれ96.3%、87.0%、77.6%で、有意にHCV陽性群のグラフト生着率は、陰性群に比べ悪くなっていた。 死亡原因:HCV陽性患者の死亡例は7例あり、その死亡原因別では、悪性腫瘍2例(malignant lymphoma 1例)(腎 癌1例)、肝不全2例(HBV肝炎1例)(薬剤性肝障害1例)、敗血症1例、脳血管疾患1例、消化管出血1例であった。 結論:HCV陽性腎移植患者において、生存率には影響はなかったものの、肝障害の割合が増加し、グラフト生着率は、HCV陰性群に比べ有意に低くなっていた。
|