研究概要 |
アンドロゲン(AR)不応症候群における臨床表現型の多様性の原因となるAR遺伝子領域の同定が本研究の目的である.これを知ることにより遺伝子解析から患児の将来の二次性徴の発達の程度を予測できると考えられ,分子生物學的観点から臨床上性の決定を含めた治療方針を確立することができる.平成9年度,症例を増やして精巣性女性化症やReifenstein症候群の細胞でのAR遺伝子のpoint mutationをscreeningし,家族性Reifenstein症候群1家系3例(兄弟2名およびそのいとこ1名)および散発性2例のpoint mutationを同定した[家族性は3例いずれもGlu (codon709)からLysへのアミノ酸置換,散発性1例はPhe (codon826)からTyr,1例はMet (codon807)からVal,Arg(codon826)からHisへのアミノ酸置換].さらにこれらの異常AR遺伝子が標的遺伝子のsteroide resposive elementにおけるtransactivation活性をCOS7細胞系に遺伝子導入し検討したところ,正常のAR遺伝子と比較して有意に活性の低下を認めた.平成10年,AR-DHT複合体が転写活性させる標的遺伝子から作られるsecond messageを検討するため,正常と変異遺伝子を持つ外性器皮膚線維芽細胞のdifferential display法にて発現している遺伝子をすべて増幅し,PCR増幅バンドでの違いを現在検討中である.
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