研究概要 |
アンドロゲン不応症候群(AIS:androgen insensitivity syndrome)における臨床表現型の多様性の原因となるAR遺伝子(the androgen receptor gene)領域の確定と転写後のsecond messageの同定が本研究の目的である.平成10年度はAR遺伝子上にpoint mutationを同定した精巣性女性化症やReifenstein症候群の外陰部由来の培養皮膚線維芽細胞におけるAR遺伝子を用いて変異AR遺伝子のsteroid resposive elementにおけるtransactivation活性をCOS7細胞系に遺伝子導入し検討した.その結果,変異遺伝子導入によるreporter geneの活性は正常のAR遺伝子と比較して有意に低下を認めた.さらに,2ケ所の疎水性アミノ酸の変異例(M807V,R840H)において,各々1ケ所の疎水性アミノ酸から疎水性アミノ酸への変異ではtransactivation活性は低下しなかったが、同時に2ケ所の疎水性アミノ酸への変異では低下した.そこで1ケ所のみを疎水性アミノ酸から親水性アミノ酸へ変異させ,transactivation活性を検討したところ活性は低下した.このことはAR蛋白における疎水性アミノ酸の存在がホルモンとAR蛋白結合に重要であることが示唆していると考えられた.さらに,AR遺伝子導入後にdifferential display法にて発現している遺伝子をすべて増幅し,AR-DHT複合体の転写,翻訳後のsecond messageを検討中である.またAR不応症候群の例においてAR遺伝子のTranscriptional activationが増強するcoactivater(ARA70,SRC-l,RAC3/ACTR)の活性化の観点からも検討している.
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