研究概要 |
本研究は,Dopamine agonistであるCabergoline(CB)が妊娠の成立(黄体機能維持)および妊娠維持に果たす役割を明らかにすることを目的としている.平成9年度は,動物実験を行い検体を採取(妊娠15日のラットにCBを0〜100μg/kg投与し,翌16日に胎盤・脱落膜・卵巣を採取し凍結保存およびホルマリン固定)する予定であったが,平成9年秋より前研究代表者が海外へ留学となって動物実験が途中中断したため,動物実験による材料はほんの数例しか採取できなかった.そこで,研究代表者交代後は研究計画を大幅に変更し,in vitroの実験,即ちCBが培養細胞に及ぼす影響についての検討を先に行うことにした.平成9年度は,未熟ラット顆粒膜細胞の初代培養にCBを添加して,顆粒膜細胞がFSHで分化・誘導され黄体化していく過程に及ぼすCBの影響,ステロイドホルモン産生能を指標として調べる実験を行った.pilot studyの段階ではあるが,CBはラット顆粒膜細胞のプロゲステロン産生を抑制しエストラジオール産生には影響を与えないという結果が得られ,in vitroでCBが黄体化阻止作用を有する可能性が示された.平成10年度以降は,この結果を確認するためにラット顆粒膜細胞の株化細胞(k-ras遺伝子を導入して不死化させた顆粒膜細胞),ブタ黄体の初代培養細胞,ヒト胎盤・脱落膜・卵膜細胞等を用いてCBの添加培養実験を行う予定である.
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