研究概要 |
妊娠初期における黄体機能の維持には中枢神経(下垂体)より分泌される黄体化ホルモンやプロラクチンが関与しているが,Dopamine agonistは下垂体からのプロラクチン分泌を阻害することがよく知られている.本研究は,Dopamine agonistであるCabergoline(CB)が妊娠の成立(黄体機能維持)および妊娠維持に果たす役割を明らかにすることを目的としている.平成10年度は,in vitroにおいてCBが黄体機能維持に影響を及ぼすか否かについての検討を行った.即ち,未熟ラット顆粒膜細胞の初代培養にCBを添加して,顆粒膜細胞がFSHで分化・誘導され黄体化していく過程に及ぼすCBの影響を,ステロイドホルモン産生能を指標として調べる実験を行った.その結果,CBはラット顆粒膜細胞のプロゲステロン産生を低濃度(10^<-8>M)から抑制し,高濃度(10^<-5>M)ではエストラジオール産生も抑制するという結果が得られ,in vitroでCBが黄体化阻止作用を有する可能性が示された.平成11年度以降は,この結果を確認するためにラット顆粒膜細胞の株化細胞(k-ras遺伝子を導入して不死化させた顆粒膜細胞),ブタ黄体の初代培養細胞,ヒト胎盤・脱落膜・卵膜細胞等を用いてCBの添加培養実験を行う予定である.また,ラット卵巣にDopamine D2 reczeptorが存在するか否かについてRT-PCRにて検討する予定である.
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