研究概要 |
[目的]近年,黄体機能に活性酸素及びNOが関与していることが解明されつつある。今回我々はラット黄体を用い活性酸素消去酵素Mn-SODの局在、mRNA発現及び蛋白動態について検討し、さらに培養顆粒膜細胞を用い,NOSとMn-SODの関連について解析した。 [方法] 1)Wister系幼若ラットを過排卵処理後卵巣を経時的に摘出,ラットSODの免疫染色さらにMn-SODプローブを用いてNorthern Blottingを行い、同時にラット卵巣内Mn-SOD蛋白及びP4濃度を測定した。 2)同系成熟ラット雌を交配後経日的に卵巣を摘出し、1)と同様に検討した。 3同系幼若ラット顆粒膜細胞を培養し、各々hCG、NOS誘導剤(IL-1β)及び阻害剤(L-NMMA)を添加してP4濃度及びMn-SODmRNAの発現について検討した。 [成績] 1)Mn-SODは黄体細胞に強く局在した。またmRNAの発現はhCG投与7時間後に0.39とピークとなり,その蛋白濃度はhCG投与直後より増加し、24時間後26.8ng/mg proteinとピークを示し、P4濃度と同様に推移した。 2)妊娠黄体において、mRNAの発現は妊娠8日目から増加し始め、妊娠14日目に1.73とピークを示した。一方蛋白は16日目に182.0とピークを示した。 3)hCGとIL-1βの添加によってP4濃度はコントロールと比較して各々2.5倍と2.1倍となり、Mn-SODmRNAの発現も増加し、逆にL-NMMA添加によって抑制された。 [結論]Mn-SODは黄体の形成及び妊娠黄体の維持に深く関与していることが明らかとなった。一方培養顆粒膜細胞においてNOはP4産生を促進させるとともにこの黄体化現象においてNOとSODは関連性を有していることが推察された。
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