研究概要 |
黄体において活性酸素消去酵素の一種であるMn-SODが黄体促進作用を、またNOも黄体機能に関連していることが各々明らかになりつつある。しかしMn-SODとNOがどのように関連し合いながら黄体機能に関与しているかは不明である。そこでラット黄体機能調節におけるMn-SODとNOの相互作用に関し、検討した。方法を以下に示す。(1)Wistar系ラットを用い、過排卵及び妊娠黄体におけるMn-SOD、eNOS、iNOS各々のmRNA動態をRT-PCR法等を用い検討した。(2)顆粒膜細胞を採取、GIT培地にてNO供与剤(SNAP)及びONOO^-供与剤(SIN-1)を添加、さらにMn-SODを追加添加し、上清中P4濃度と培養細胞におけるアボトーシスの有無についてDNAラダー法にて検討した。またSNAP、SIN-1添加のMn-SODmRNA発現に対する影響を検討した。以上より、(1)過排卵黄体ではいずれのmRNAもhCG投与直後より増加し、12〜15時間後にピークとなった。一方、妊娠黄体ではMn-SODは初期より増加し14日目に最高値を示し、またeNOSとiNOSは妊娠中期より増加し、16〜18日目に最高となった。(2)SNAP,SIN-1添加によってP4産生は用量依存的に抑制され、DNAラダーが認められた。またMn-SOD追加投与によってP4抑制作用は減弱し、DNAラダーは消失した。またMn-SODmRNAは無添加のコントロールに比較してSNAPでは1.5倍、SIN-1では1.2陪に増加した。これらの結果よりMn-SODはNOやONOO^-のluteolytic作用に対し抑制的効果を、またNOとONOO^-はMn-SOD誘導作用を有しており、Mn-SODとNOは量的、時間的差によって黄体機能調節に関与していることを明かにした。
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