研究概要 |
卵巣癌に特異的に発現している遺伝子の同定および卵巣癌で特異的に発現の見られないあるいは発現の減弱している遺伝子のスクリーニングをDifferential Display Systemを用いて検討し13種類の遺伝子を同定した。それらの遺伝子の中で今回癌において発現の増加していたCyclin-Dependent Kinase 4 Inhibitor遺伝子であるp16^<INK4>,p15^<INK4B>について卵巣癌細胞株を用いて検討した。正常組織に比べて卵巣癌細胞株のうちPA-1,Caov-3,Caov-4,OVCAR-3,Kuramochi株においてはいずれの遺伝子も過剰発現が認められた。 p16^<INK4>,p15^<INK4B>遺伝子は網膜芽細胞腫遺伝子(Rb)のリン酸化に関与する遺伝子であり、つぎに卵巣癌細胞株を用いてRb遺伝子の解析を行った。Caov-3株ではRb遺伝子の発現は認められず、さらにその原因がRb遺伝子のpromotor領域の異常によることを明らかにした。つぎにRb遺伝子の塩基配列の異常の有無を解析すると、PA-1,OVCAR-3株では一方のalleleに点突然変異が認められ、さらにCaov-4株ではコドン123に点突然変異が認められることを明らかにした。
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