研究概要 |
多彩な組織型とそれに起因する生命予後の違いといった性質をもつ悪性卵巣腫瘍についての発ガン機構を詳細に検討することはその早期発見、有効な治療法を開発する上でも重要な手がかりになることが期待される。そこで我々は手術時の摘出材料を用いて、癌部と正常部分からRNAを抽出し、Differential Display法を用いて、卵巣癌の発生に関与する遺伝子の同定を試みた。まず正常組織に比べて卵巣癌組織で発現の減弱あるいは消失している遺伝子としてp53,P51,p73,PTEN,LKB1遺伝子を同定した。さらに未知の新規の遺伝子として3つの候補遺伝子を同定した。各々の遺伝子については組織からRNAを抽出して逆転写酵素によりcDNAを作成し検討した。p53遺伝子に関しては卵巣癌の約30%に点突然変異等の異常を認め、またP73遺伝子に関しては卵巣癌の約10%に欠損、点突然変異等の異常を認めた。一方PTEN,LKB1遺伝子に関しては現在までのところ遺伝子異常は認められていない。さらに新規の遺伝子に関しでは全長のcDNAの単離を試みている。
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