研究概要 |
[目的]子宮内膜癌において腫瘍血管新生,hepatocyte growth factor(HGF),およびc-Met蛋白発現と臨床病理学的予後因子,および予後との関係を明らかにすることを目的とした.[方法]子宮内膜癌(類内膜腺癌)93例を対象とした.抗第VIII因子関連抗原抗体を用いた免疫組織化学染色法により血管内皮細胞を固定し,腫瘍組織内で血管密度の高い部位100倍鏡検下1視野内の平均血管数を微小血管数とし腫瘍血管新生の指標とした.また,HGF,c-Met蛋白発現は,それぞれanti-HGF α polyclonal antibody,anti-c-Met polyclonal antibodyを一次抗体とし免疫組織化学染色を行い癌細胞の1/3以上染色されたものを陽性とした.[成績]予後因子との関係では,微小血管数と進行期,分化度,リンパ節転移との間に,およびc-Metの発現と進行期,分化度との間に正の相関を認めた.予後との関係では,微小血管数高値群およびc-Met陽性群の生存率は有意に低下していた.HGFの発現と予後因子,予後との間に有意な関係を認めなかった.さらに微小血管数,HGF,c-Metを含めた多変量解析を行ったところ微小血管数,進行期,分化度,筋層浸潤が独立した予後因子であった.[結論]微小血管数を定量評価することは子宮内膜癌の新しい予後因子として有用であることが示唆された.
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