研究課題/領域番号 |
09671661
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
児玉 英也 秋田大学, 医療技術短期大学部, 教授 (30195747)
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研究分担者 |
清水 靖 秋田大学, 医学部, 医員(臨床)
田中 俊誠 秋田大学, 医学部, 教授 (40002216)
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キーワード | 男性不妊 / 精子 / 活性酸素 / DNA / ビタミンC |
研究概要 |
活性酸素によるDNA損傷時に8-ヒドロキシデオキシグアノシンが生成されるが、この物質は近年高速液体クロマトグラフィーに接続した電気化学検出器により高感度に検出可能なことから、酸化的障害によるDNA損傷のマーカーとして脚光を浴びている。我々は、この8-ヒドロキシデオキシグアノシンをマーカーとして精子の酸化DNA量をWHOの判定基準を満たす男性不妊患者19例と正常コントロール20例で比較検討を行った。その結果、男性不妊患者の精子核DNAの8-ヒドロキシデオキシグアノシン量はコントロール精子より有意に多く、男性不妊患者では精子核の酸化障害に起因するDNA損傷が増加していると考えられた。 酸化的DNA損傷が男性不妊成立の一因になっているとすれば、何らかの方法で酸化的ストレスを低下させればその障害を回復出来る可能性が考えられる。そこで男性不妊患者14例を対象とし、抗酸化剤であるビタミン剤等を内服させるパイロット・スタデイを行った。対象男性不妊患者に一日ビタミンE 200mg、ビタミンC 200mg およびグルタチオン400mgの3種類の抗酸化剤を2カ月間内服させ、治療の前後で精液検査所見、血清中ビタミンEおよびC濃度、過酸化脂質量、および精子中の8-ヒドロキシデオキシグアノシン量の測定を行った。その結果、平均精子濃度は薬剤内服後に有意な改善が認められ、またビタミンEおよびCの血中濃度の増加、血中の過酸化脂質量の低下が認められた。また、精子の8-ヒドロキシデオキシグアノシン量は抗酸化剤の内服により有意に減少した。 本研究により男性不妊において精子核の酸化障害に起因するDNA損傷が増加していることが示され、それに対する抗酸化療法の有効性も示唆された。
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