受精の分子機構の解明は、種の存続という生物学上での大きな問題に直接関与し、また最近増加している不妊症患者の病態解明・治療に大きく貢献する知見をもたらす可能性を持っている。近年、ヒトを含めた種々の哺乳動物で卵管に特異的に発現し、配偶子を修飾する活性を持つ糖蛋白質(卵管特異糖蛋白質:OGP)の存在が報告されている。我々は1980年代より、生殖生物学では優れた実験動物であるゴールデンハムスターのOGPを発見し、この物質の生化学的性状・生殖生物学的性状を明らかにしてきた、最近この分子及びマウスにおけるhomologueのcDNAのクローニングに成功した。本研究では現在までInverse PCR法により、マウスOGP遺伝子のinitiation codonより2371塩基上流の構造解析を行った。その結果、この流域には典型的なTATA boxが存在していなかったが、5′上流域にhalf palindromic estrogen responsive element(ERE)が8個所、またimperfecu EREが1個所存在が判明した。現在この領域のdeletion mutantをluciferase発現ベクターの上流に連結し、この領域のプロモーター活性を多面的に解析中である。
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