研究概要 |
1.細胞周期のG1期の調節に関与するP16-CyclinD/Cdk4-Rb経路を構成する遺伝子をSouthern Blot,RT-PCR,Sequence,Western BlotおよびImmunoprecipitationにより解析し、これら遺伝子のうち少なくとも1つの異常が卵巣癌細胞株の約80%に認められることを証明した。遺伝子異常が修復されるG1期の調節が障害されることが、卵巣癌化に大きく関与していることを初めて証明し、論文として発表した。 2.ヒト上皮性卵巣癌細胞株をFSHにより刺激した系と刺激しない系で培養し、RNAを抽出、Differential Display法により、細胞増殖が変化しない細胞と増殖促進される細胞間において発現に差のある遺伝子25個をサブクローニングした。現在cDNAライブラリーを用いてスクリーニング、クローニング中である。今後はNorthern Blotによる解析を行い、新しい遺伝子が発見されれば機能解析を行う。 3.同一患者の手術時摘出材料から、卵巣癌組織と正常組織のDNAを抽出し、ミニセルフュージョンにより卵巣癌抑制遺伝子が存在する可能性が示唆されている4番染色体のLOHおよび両側アリルの欠失領域を、STSマーカーを用いて検索した。可能性のある領域は2つに絞られり、現在更に領域を限定する作業を行っている。今後BACライブラリーのスクリーニング、Exon Trappingなどの手法により、散発性卵巣に特有の癌抑制遺伝子の単離を目指したい。 4.TGF-β type2 receptorおよびその下流のシグナルトランスダクションに関連する蛋白質、smad3、smad4(DPC4)の変異を卵巣癌について検索中である。Receptor異常は認めなかったが、DPC4が認められるものが存在した。Smad3について現在解析中である。
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